私は利休 1 (ヤングジャンプコミックス)私は利休 2 (ヤングジャンプコミックス)俺たちが茶の湯の世界をひっくり返すんだよ!タイトルの利休とは、かの有名な茶人・千利休。もし千利休が輪廻転生して今に生きていたら?という切り口の、茶道を題材にした茶道マンガ(?)です。少し余裕が出てきたので、最近読んでいて感想書いていなかった作品をちょっとずつ書いていこうと思います!
主人公は3人。まずは、小さな出版社に勤める雪吹なつめ。連ドラを楽しみに日々を過ごすような平凡な生活を送っています。
そして、その同僚の田中。

能力が低いわけではないけれど、世渡りベタで怒られがちなダメキャラ。
そしてもう1人は。ある日、帰宅する電車で雪吹は華麗なるイケメンを発見。落としたポーチをそのイケメンが拾ってくれたご縁で知り合うのですが、その人は有名な茶人でした。

山上流宗家・山上宗刻。
この茶の湯界の若手イケメン先生につられて、雪吹(と田中)が茶道に足を踏み込んだ事で物語が始まります。
宗刻に会いたいがため、早速、山上流主催のお茶会に参加する雪吹(と田中)。そこで、田中が不思議な力を発揮するんです。偽物も混ざる数ある茶道具の中から、最も高価な物を当ててしまう。その事で、田中に一目置くようになる宗刻。さらに、田中は帰り際、綺麗に掃いた庭園にわざと落ち葉を散らしてみせるんです。その方が綺麗だからと。確かにその通り、宗刻は益々田中の存在が気になりはじめます。
後日、雪吹が田中に、本物を見抜く不思議な力について尋ねると…。なんか光って見えるんですよね、と答える田中。やはり、田中には鑑定眼というか審美眼というか、本物を見抜く眼があるらしい。その不思議な力には宗刻も気づいていて、色々な形でそれをテストしていくんです。
まず宗刻は、田中と雪吹を自宅の茶室に招待します。そこで、2人が(というか田中が)何を感じるか試す事に。
『僕は…… “時間” を感じました』
田中のこのコメントは、かつて利休が弟子に言った言葉と同じという偶然。こういう偶然が何度も起きるんです。偶然とは言えなくなるほどに。
そしてこの後、今度は2人が宗刻を茶でもてなす事を課題として、雪吹と田中それぞれがもてなし方を考える事になります。
その時の田中の演出に対して宗刻は。
ま…まさか!?そんなバカなことが…!
これは……「顔回」!? そんな…
田中の演出には利休が考えたと言われる「顔回」(←瓢箪で作られた花入)が用いられていました。素人の田中が元々知っているとも思えず、では自分の感性でそれをしたのか!?と衝撃を受ける宗刻。劇画調になってハァハァしていますが、これはイケメンキャラ的に問題ww モザイク入れてあげたくなります。
田中利休説は益々有力。こいつはただ者じゃない!田中とは何者ぞ!?と思い、田中について調べさせる宗刻。すると驚きの結果が。
『田中芳男という人物は存在しないのです』
びっくり!そんな展開なんですね。やっぱり田中は利休の生まれ変わりなんでしょうね。もしくは、途中から利休が覚醒したとか。結局、調査した人間からは存在しないために、偽名でも使っているんじゃないかと憶測されます。
さてここで、もう1人のメインキャラが登場。
“ネットバブルの風雲児”、“平成の魔王”の異名を持つ男・織田三郎。その個人資産は数千億とも言われる大富豪です。そしてその人は、茶道具を収集し、ついには廃館となった美術館の収蔵品を全て買収するという、なんとも豪気な事をやってしまいこの世界でも話題の人物。
その織田が、ある茶道具を巡り宗刻を訪ねてきます。そしてその時に、茶道具を買い占める理由をこう語りました
お茶事は本来楽しいもの。しかしそれが失われた今の息苦しいだけの茶の湯も、名物である茶道具が使われずに収められている現状も、愚かな話だ、と。
『だから俺は “名物” を蔵の中から解放する事にしたんだ』
彼の最終目的は、茶の湯の本来の姿を取り戻させる事=もっと楽しく、自由にする事。もーわかりやすくギラギラと胡散臭く見える織田くんですが、茶道に関する見識も深いようでただの拝金主義の若造ではなさそう。数千億なんて金額を手に入れると、もっと金を!不動産を!高級車を!女を!俺様専用ジェットを!とか、トラをペットとして所望す!なんていう物欲レベルの欲求はとっくに満たされていて、より高度な欲求=自己実現を目指し始めた結果、なんちゃら財団とか作って教育や文化や社会貢献といったより公共・公益性の高い分野に足を踏み入れるものなんでしょう。彼の場合はお金有り余って退屈で、その資本を何か面白い事に使って、単に自分がもっと楽しみたいなーと思っている。それが茶の湯レボリューションだという、単純な動機なのかなと思います。この人がどう絡むかが、今後のストーリーと大きく関わりそうです!
話を田中の素性に戻します。
調査で明らかにならなかったため、宗刻はそれとなく田中本人に聞くことに。すると、田中には過去の記憶がなく、記憶喪失である事が判明。ただ、大阪弁を聞くと懐かしく感じることから、自分のルーツは関西なのかな?と思っている。そんなわけで、宗刻は京都出張に田中を帯同することに。関西に連れて行き、利休と関係のある物に触れる事で何か思い出すんじゃないかという目論見です。
そして、その京都で明らかになります。田中が何者かが。その場所は、現在は国宝に指定されている、利休が作った茶室・待庵。宗刻は大胆にもそこで茶を点てる事で、田中の記憶を呼び起こそうと企みました。
そして。

利休登場!
こわいっっっ!!! これじゃ輪廻転生というより憑依www ここで宗刻の点てた茶を飲んだ利休は。
『茶はうまいな』
その言葉に魂を揺さぶられる宗刻。
我に返った田中に宗刻は、田中が利休であった事を告げます。それに対して田中は
『自分でも少しは分かっていた気がします』と笑う。
で、物語がどこへ向かうのかというと。
『やるんだよ!!俺たちが茶の湯の世界をひっくり返すんだよ!俺と宗刻とお前とでな!!』
やっと役者が揃った~2巻。茶の湯界に革命を起こす!とは言っても、具体的に何をするのかはまだこれから…というところ。痛快な展開を期待☆
雪吹さんは主役陣に見せかけたサブキャラなのか?