三連休も終わりですね~。学生のみなさんは既に冬休み満喫中でしょうか。働く私はあと数日間頑張らねばなりませんが、残りの出勤日は25日と28日の新刊発売日のおまけみたいなものなので、ウキウキ乗り切りたいと思います。
さて、ろびこ先生のオムニバスラブストーリー、ひみこい2巻です。個人的には2巻≧1巻でした!同じように女子高生の恋模様ではあるのですが、1巻に比べて少し大人っぽい仕上がり。恋の相手が大人だからかもしれません。恋の秘密度も高めです。
理久はカメ吉の世話をする事で先生との接点を増やして、もっと距離を縮めたい!と思っているのですが、先生はこれまで築き上げて来たものを “女子高生との交際” で失いたく無い、と非常に冷静な対応。
そりゃあ先生の立場であれば、よっっっぽどでなければ、クビにつながるような行為は慎みたいですよね。教師の社会は閉鎖的で封建的ですし、ちょっとした噂ですら命取りになりますもんね。社会人になると、先生の気持ちがわからんでもない…。
加えて、先生は早くに両親を失くしていて、「結局人はひとり」と思っていて、あまり自分の世界に他人を入れたがらない。だから、理久にもここから先は入ってくるなよーという線を引いています。
ある日、20年育てていたカメ吉が脱走してしまうんです。カメ吉がいない!と慌てる理久とは対象的に、その時も先生は「いなくなったものはしょうがない」というスタンス。それを聞いた理久がキレる。
『先生なんか一生独り身の寂しい男になればいい!』その後、遅くまでカメ吉を探す理久を先生が見つけてからの……先生の告白!人と関わって裏切られるのはゴメンだ、キズつく事から逃げ回っていたい、という先生。
『…でも キミを見てると そんな自分がバカらしくなる』
『…こういうのを 惹かれてる と言うんだろうな』
言葉で説明してしまうと、いきなりどうした先生!?状態ですが、読むとそこまで唐突感はないです。人と深く関わる事を避けていた先生が、自分に一生懸命な理久に心動かされてしまった、という分かりやすいストーリーですが、先生と理久の軽妙なやりとりが楽しいお話でした。
ちなみにカメ吉は無事に発見された上、卵を産みますw
◆秘密の恋5・ピクニック日和親の再婚で姉弟となった高校生の夏実と2歳下・中学生の秋生。連れ子同士、父親(母親)が今度こそ平和に暮らせますように…、という利害が一致した2人は、新しい家族として暮らしていくのですが、そんな2人に次第に恋心が芽生えてしまう。
これが、読めば読むほどにキュンと切なくて(泣)1回目は割とさらっと読み終えたのですが、感想を書くために2回、3回と読むうちに、切なさにメッタ打ちにされちゃったんですけども、どうしたらいいですか。そして、いろいろ考えて整理してから書くとつらいので思うままに書き綴るしかない状態で書き始めてすみません。
さて、そんな血のつながらない年頃の娘と息子を残して旅行に行ってしまった平和な父と母。その留守中、どちらからともなく思わずキスしてしまい…… キスした後に驚く2人。その驚き方が、大切なお皿をうっかり落として割ってしまった時のようなどうしよう、やっちゃった… という感じなんです。巧い。2人が絶妙に姉弟であり、でもそうでない距離感に唸る。
翌日、なんとなく学校をさぼってピクニックに行く2人。初めての2人きりのデートみたいな外出。その、つなぐ手のぎこちなさよ。

感情が決壊してしまった事について
『…夏実は なかったことにしたいの?オレはそんなの嫌だ』と言う秋生。一方夏実には迷いがあり、周りを傷つける恋愛なんて間違っている、と思っている。
ところが、並んで座り語り合う中で、次第に夏実の気持ちが変わっていくんです。夏実の体に触れる秋生を改めて愛しいと思い、この気持ちを誰が間違ってると言えるのか、と思って覚悟を決める。そして、またキスした2人は感情の赴くままやってしまおうとするのですが…
『だめだ できない 夏実のこと大好きだけど すごくしたいけど けど…』と涙を落とす秋生。そんな秋生の涙を拭い、夏実が言います。
『きっと これでいいんだよ秋生 あんたの幸せもずっと願っててあげる ずっと ずっと』
はじめは、いってしまえ!だった秋生が、結局寸前で踏みとどまったのは、子供として純粋に親の幸せを願い、今の何かを壊すかもしれないリスクに臆病になる気持ちからなのか。それとも、いざとなったら自覚していた以上に夏実を家族だと思ってしまっていたからなのか。。。そのどちらとも取れるし、どちらもなのか、どちらでもないのかもしれない。
あの日 私の中にできた染みは
少しずつ色がぬけてほとんど透明になって
それでもずっと消えることはない
でもそれでいい
それがいいくっそ切ない。。。。(泣)もう若くないもんで、こういう切ない展開に耐えられないんですマジで。どうかハッピーエンドを下さいorz うぅ……胸痛すぎるよ。息が苦しい……。
両親も幸せで、子供も幸せでって事ではだめなの?いや、分かります。彼らが望んでいた事も分かります。よく分かるんですけど。やっぱり、いーやーだー!!嫌だー嫌だー!!!そもそも、誰損なんでしょう、2人が付き合ったら。特に問題ないですよね。そして、二度ご結婚された両親なら、人間の思い通りにはいかない複雑さを理解してくれてオーライな結果になるんじゃないだろうか、幸せ2倍とか思ってくれるんじゃないだろうか、とか言ってみるだけ言ってみる。だめだ。何を書いても気が済まないw
これまで2人がどんな気持ちで親や家族を見つめてきたのか、そして、最後は恋人よりも家族である事を選ぶまでの心模様が静かな描写から伝わりすぎる。
最後に、1年後少し大人になった秋生が夏実と目が合ってかすかに微笑んだシーンなんて、たまらないです。すり傷のようにしみる感覚が痛すぎて死。読み終えた後、しばらくしてから泣き出したくなるような作品でした。
◆ふたりのカクレガ自意識過剰で人付き合いがヘタな岡野さん。そんな岡野さんこと「ちー」の片思いの相手は、小学生の頃近所に住んでいたシローちゃん。年上のシローちゃんは、いじめっ子からちーを守ってくれる頼もしい存在でした。
ある日シローちゃんは両親の離婚で遠くに引越してしまい、ちーは高校生になった今もその思い出を引きずり、かつて彼が住んでいた今は無人のアパートに不法侵入しw、思い出に浸る日々。
ところがある日、そこにシローちゃんが帰って来るんです。帰って来たと言っても、またそこに引越してきたわけではなく、ふらっと現れただけ。明らかにプーと分かる状態…。
再会間もないちーにさっそくファミレス代をたかるシローちゃん。。。なんだか昔の記憶と違う彼に戸惑いつつも近況を聞き、離婚後に母親が死んだと聞きかされ、情にほだされる単純なちーw
そして、再びシローちゃんが無人ボロアパートで暮らす事になり、ちーがそこに通い詰める生活が始まります。
ここからは、シローちゃんとの関係の中で、不器用なちーが自分の気持ちと向き合いながら成長して、クラスメイトとのディスコミュニケーションを克服したり、今のシローちゃんへの恋心を自分なりに確立していくという大変ポジティブな展開です。
『シローちゃん依存だっていったけど それならそれでもいい きっとそれが あたしの恋なんだと思う』
読みどころは、自意識過剰な自分を変えたいのに変えらないちーの笑えるほどの自己嫌悪っぷりと、はじめはちーを子供扱いしていたシローちゃんが段々惹かれていって、結局ちーに強引に押し切られてやっちゃうまでの葛藤でしょうかw
コミュニケーション不全の人を描くのは、ろびこ先生のおハコなんでしょうかね。となりの怪物くんなんて、ササヤンを除く全ての主要人物がそうだと言っても過言ではない。ちーは自覚があるだけまだ軽度か。シローちゃんは、はじめからこうなる予感はあったよねお疲れ様でした、と無駄な葛藤をねぎらってあげたいw
さてそんな中、シローちゃんが不法滞在していた無人アパートはマンションに建て替わる事になり、シローちゃんもまたちーの前から姿を消してしまうんです。それをまたまたちーが待ち続けての、2度目の再会。

しかも、戻ってきたシローちゃんはちゃんとアパートも借りて、今度こそふらっと消えたりはしなそう。(いや、わからん…)ちーの親にも挨拶をしたという、見かけによらず誠実さもあるシローちゃん♪
最後にちーの友達としてササヤンの名前が出て来るのが、とな怪読者としては嬉しいところでした☆
「ひみこい」は2巻ともひねりの少ない素直で読みやすい作品ばかり。自分の気持ちを持て余したり、友人や家族、周囲との距離感に悩む登場人物たちが愛しい。どの話からも感じられるひだまりの様な暖かさは、ろびこ作品らしいです。ろびこファンなら読んで損はないと思います♪
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「ひみこい」を何故か「ひこみい」だと思っていた。
意味を考えずにビジュアルだけで文字を記憶するのはやめようと思います。