 | - 原 泰久
- 発売日 : 2012/08/17
- 出版社/メーカー : 集英社
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『境があるから内と外ができ敵ができる
国境があるから国々ができ戦いつづける
だからあいつは国を一つにまとめるんだ』秦軍対合従軍の激突が続くキングダムの27巻。期待を裏切らない相変わらずの濃さ!各国の将軍の力も徐々に明らかになり、とにかく面白いッッ!!
激動の初日、そして、戦いの行方はーー
臨武君討ち死にの知らせが巡る中、信は趙軍・万極と死闘を繰り広げます。この万極軍、秦軍に対して尋常じゃない戦意を向けてくる。なぜなら、
『今回の万極軍は長平での遺族・遺児のみで構成されている』。 趙軍・40万人の投降兵を秦軍が虐殺した長平で、家族や親を失った人達。
『万極軍は長平の呪いそのものだ』
万極は、自らが長平の生き残りなんです。彼が戦いの最中に語り出す残忍極まりない“長平”の歴史は、それを聞く味方へは戦意を高める檄となり、信たち秦軍の人間にとっては勢いを失う誘因となります。
戦いがある限り第二第三の万極が生まれ、呪いは連鎖していく。出口なき闇で永劫に呪い合い殺し合うことが真理だ、と説く万極。
それに対して信は、
『今ごろになって俺は気づいたんだ。この出口のねェ戦争の渦を解く答えを持ってる奴を 実は俺は知ってたんだってなァ』 そして傍のテンに視線を投げます。
『境があるから内と外ができ敵ができる。国境があるから国々ができ戦いつづける。だからあいつは国を一つにまとめるんだ』 信の言う「あいつ」が政だと気づくテン。
『そして俺はその金剛の剣だ』
そして信は万極を討ち取り、万極の抱える呪いに終止符を打ちます。
ようやく初日終了。
合従軍は楚の臨武君と趙の万極が討たれたものの、互いに1万の兵を失う結果に。
ところで、臨武君討ち死にの報に対する春申君のつぶやきがひどい。『………ハゲがしくじったか………』って。。。ハゲがしくじったって、、全くその通りなんですけど、何か他に言い方ないのか!w 最近立場上春申君とからみの多い李牧は、その裏の裏の裏をかく思考の腹黒さを隠すように、常に上品で聡明な表現をなさいます。本音を晒さない油断ならないヤツです。
そして、2日目。
臨武君を失った楚軍は、第二軍を動かすことに。第二軍の将はこの人。

媧燐将軍。
巨体過ぎて遠近感がおかしい。

登場早々に、臨武君の副官をひと蹴り。蹴られた魯近副官は首の骨ぼっきりで即死…
『ハゲの手垢のついた無能共はいらないんだよ 敗戦の豚共』 見た目のイメージに違わぬキャラクターで、兵士をさっそく豚呼ばわり。ついでに、臨武君はここでもハゲ呼ばわりされてます。
サイズといい、髪型といい、和田アキ子にしか見えない媧燐様ですが、彼女の本陣・李牧への進言が、合従軍の戦略を大きく転換させます。
全軍大いなる凡戦を連ねて十日後に函谷関を落とすべしこれを受けて、李牧は消耗戦で秦軍を削り、10日~20日後に合従軍で一気に函谷関に攻め入る戦略を立てます。
合従軍が数で勝るだけの軍ではなく、全体で戦略を共有しその共通意識の下に動く軍隊となると、これは秦軍大ピンチです。
消耗戦が続く7日目、ずっと気になっていたこの人が動き出しました。
韓軍総大将・成恢。

明らかに異常のある風貌をした将軍は何者なのか。
巻き添えとは何か。
この軍は毒を武装した“毒兵器部隊”。成恢は、当時まだ珍しかった毒兵器の研究開発に着手し、あらゆる毒の抽出・混合・実験を繰り返して独自の猛毒兵器を作り出したんです。
元は男子も色を覚える程の美男子だった成恢も、研究の過程で自らも毒に冒されこんな姿に変貌してしまった…
初めは、泥を顔に塗る民族でそれがひび割れているのかと本気で思っていましたが、「ドス黒い顔に血管が浮かんでいる」のだそうです。なるほど。
成恢の軍が函谷関を守る張唐将軍に放った弩(爆発する砲弾のような塊)が、将軍の真横を直撃。何やら怪しい煙を放ちますが、その場では誰にも変化が起きません。ところが翌日の夜、張唐将軍の顔には成恢のような血管が浮き出していてーーこれは完全に、何かに冒されています。張唐将軍に死亡フラグorz
消耗戦の終わり、つまり函谷関への総攻撃はいつか。
その日が近づいていることを察して、秦軍の将軍の眼光は益々鋭さを増していく、かつてない規模の戦いが始まる直前の、このヒリヒリ感がたまらない!!!
一方の合従軍は。
『明日の夜は函谷関の上で祝杯をあげましょう!』
言われるまでもなく、各国将軍は決戦が明日にも始まることを察し、全軍出撃の構え。
李牧の言葉には、明日必ず戦いに決着をつける、という明確な意志が感じられます。
そして、迎える運命の15日目。
李牧曰く、カギを握るのは楚軍、汗明・媧燐率いる12万の兵。それを迎え討つのは蒙武・騰連合軍。蒙武の作戦は、
『俺の号令に従い全力で戦え』 という極めてシンプルな、というかただの特攻!?です。
整然と並ぶ秦軍兵士達に、蒙武将軍の檄が飛びます。
『俺が全中華最強の男 蒙武だ!!』
『最強の男が率いる軍勢も最強だ』
『この蒙武軍は無敵である!!』この勢いに息子もびっくり。

勢いで蒙武軍が突っ込んでいくところで27巻終了。次巻、まずは蒙武軍の進撃に期待!
キングダムももう27巻ですが、1巻から全く変わらず、話の展開は早いし毎巻毎巻本当に魅せ場が多くて、原先生のストーリーテリングとパワーに心から感動です!
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あ、信とテンのキスシーン書き忘れた。
キングダム 26 (ヤングジャンプコミックス)函谷関攻防戦。五ヶ国からなる合従軍を迎え撃つ秦軍。鉄壁の国門・函谷関を死守すべく、信たち飛信隊は因縁の趙軍と激突!(背表紙解説)※ネタばれしています※いよいよ始まった秦軍の存続をかけた攻防戦!もう、役者揃いで読みごたえありまくり!!各国の名だたる将軍が勢揃いし、そこら中で激突します。騰将軍が表紙の26巻、内容濃いめです。
そんな中じゃ、信もかすむよな~・・・と思いきや、戦いの流れを変える大活躍が!そして、部隊長(秦軍だと蒙恬や王賁)たちの快進撃も!?
麃公(ひょうこう)将軍の下、趙軍と対峙した信。麃公と趙軍の副将慶舎、共に「本能型」である将軍の戦いは、慶舎が流れを引き寄せます。
この慶舎、なんとあの李牧が盤上では負けたこともあるというツワモノ。嵌められた麃公は、軍の後方から趙軍に崩されていきます。このままなす術なく敗北の途をたどるのか・・・?
そんな中、麃公軍を逆走する隊が。
『こっから反撃開始だっ 覚悟はいいか 趙兵共!!』
飛信隊の旗を掲げ、趙軍に立ちはだかる信。
分かっていたけど、爽快!
信は直感に従い、趙軍の攻撃を受けていた後方へ戻り、麃公軍を立て直します。この後、信が味方の兵士に檄をとばすシーンがとてもいいです。ここという場面での彼の統率力は素晴らしく、後方の1万の兵を率いる姿は、将軍となった信を見ているようです。あぁ爽快~
信と同世代の部隊長たちの戦いも熱いです。

騰将軍曰く、楚軍との戦いの鍵を握るのは部隊長。
中でも大活躍するのは、騰将軍の下戦う蒙恬です。
楚軍の臨武君と対峙した秦軍、鱗坊軍長。狙い澄ました一矢を頭に受け、討ち死にします。その矢は、限りなく遠方から放たれた様子。
『普通の弓使いの腕じゃない。あれは危険すぎる!』という蒙恬の判断とその後の行動は、「初日の大番狂わせ」に大きな貢献をします。
矢の出どころは、楚軍の千人将白麗。すぐさま白麗を討ちに向かう蒙恬の前に、おなじく千人将の項翼が立ちはだかります。
以前、信を挑発してきたあの人ですね。自信過剰なお調子者を絵に描いたようなキャラで憎めませんが、ウザいです。早くどいてくれ。
蒙恬は項翼の刃を受け流し、父、蒙武将軍から告げられた「楚の第一軍を討ち楚将を引き出す」という騰軍の役割を果たすため、再び白麗のもとへ。
信の成長にも目を見張りますが、蒙恬はより完成度が高めですね~。
目的を見失わず、安い挑発に乗らない冷静さ、戦況を把握する力、相手の力量を推し測る観察眼を持ち、それでいて先陣を切る勇猛果敢さとタイマンの強さも併せ持っています。性格は、個性強過ぎるキャラの中で、誰とでもうまくやっていけそうな器用さを感じる唯一の人です。人徳もありそう。
この人出木杉くんですね。女性にモテそう。家も代々将軍で、その上二枚目。頼もしい若様です。
将軍陣もキテます。まずこの人。
『仕方ねェな 遊んでやるか』桓騎将軍。
すべてのコマでこの余裕……
桓騎軍は函谷関にて魏軍からの攻撃を受けます。魏軍は巨大な井らん車を導入。さらにそこに仕掛けを作り、函谷関を這い上がろうとします。難攻不落の函谷関が遂に!?というところで、先程の台詞。
言葉通り、遊ばれたかのような攻撃を受ける魏軍・・・
こわっ。絶対敵にまわしたくありません。いや、味方にいてもこわい。
そしてこの人。
『天下の大将軍だ!』騰将軍。
特技は王騎将軍のモノマネ。貴様は一体何者だ!と問われての答えは、半分本気、半分モノマネです。
こちらも、飄々としていてつかめない人ですが・・・強い!!さすが、王騎の副官を務めた人物。
天下の大将軍王騎を支え続けた騰将軍と、大国楚において将軍に上り詰めた臨武君の力とプライドのぶつかり合いは、騰将軍の渾身の一振りで幕を閉じます。
それにしても、味方からも敵国からも、死してなお常にその名を語られる王騎将軍は、本当にすごい存在感ですね。
部隊長の活躍と騰将軍の勝利による「大番狂わせ」で初日終了。
まだ初日か・・・。
キングダムは絵もキャラも濃いので読むのにパワーが要りますが、将軍クラスがこれだけ出てくると、1冊読んだだけで読後の疲労感がすごいw
こういうマンガは、あぁ、あの上司はこの将軍タイプだなとか、逆に、この将軍が上司だったら最悪だなとか、現実に照らして楽しみます。今のところ、無難に蒙驁(もうごう)将軍を上司に、蒙恬を先輩に持って平和にやっていきたい気持ちです。
ちなみに、書店でこれを配っていました。フリー誌です。

1巻の途中までと、過去の読切が入っていて、李牧の昔のエピソードが読めます。かっこいいです、李牧。
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兵の数って、絶対盛ってると思う…