許嫁だったジルがある日突然蒸発してしまい、その弟、ルセルの許嫁となったヴァーリア。そんなテキトーな話納得いかんわ!ということで、ヴァーリアはジルを探す旅に出ることを決め、それにルセルも同行します。
実は、ヴァーリアが好きなのは、ジルではなくてルセルなんです(あ、言っちゃった)。でも、ヴァーリアもルセルも、この婚約はジルが帰ってくるまでのつなぎだと思っていて、お互いの本当の気持ちは知らない。
ルセルがいたから今まで頑張ってこれたと思っているヴァーリアは、二人のこれからのことを話したいとルセルに告げるのですが、、そこに、不意に狼が現れて二人に襲いかかります。(いいとこなのに!)
なんと、矢を放ったのは狼退治をしていたジルでした。
『この 馬鹿長男!!!』
ひょっこり現れたジルにヴァーリアの怒りが炸裂!
ヴァーリアがジルを探しに来たのは、ルセルと結婚するために、最初の婚約にけじめをつけるためだったんですね。
これでやっとヴァーリアとルセルの気持ちが通い始めるのですが、
『手を… つなぎたかったの ル ルセルと』
驚くルセル。
『そうなの?』って… やっぱりなんにも気づいていなかった…
ルセルはルセルで、自分は兄の代わりだと思っていたので想いを告げられなかった。誤解がとけて、めでたしめでたし。
ジルは二人と共に町へ戻り、後日ヴァーリアとルセルは結婚。
ヴァーリアの花嫁姿、かわいいです!

短編だけど、しっかりあきづきワールド!キャラの魅力はしっかりしてまっせ!
『赤髪の白雪姫』で強いて例えると、ヴァーリアの活発さがゼンっぽくて、ルセルのニブさが白雪っぽい気がします… どうですか??
◆龍の守唄清々しく、切なく、温かい、天龍と巫女の物語です。
龍の子であるキトと、龍の子を守護天龍へと目醒めさせる巫女のシュエン。
幼い頃に神殿にやってきたシュエンは、兄妹のようにキトになついています。

それは今でも変わらず、ペットのようにキトについて歩くシュエン。

キトはいつか天龍となって地上を離れる運命。その時が刻一刻と近づき、ついにその日を迎えます。
儀式を前に、シュエンがキトに尋ねます。
『ーーキトは 天龍になっても記憶は残るの?』キトが天龍になっても、今日まで感じたことがキトの中に残ったら嬉しいと言うシュエン。言いながらまた泣いて、キトに叱られます。

儀式を迎えたシュエンとキト。シュエンの歌がキトを天へと導きます。
ついにキトは天龍に姿を変え、天に昇っていくのですが、泣かないと約束したシュエンは、空に向かって泣き続けます。
シュエンの声に、最後にもう一度だけ、人の姿で戻ってきたキト。
『ーー幸せに』
そうシュエンに告げ、天へと還っていきます。見送るシュエンの姿は少し逞しく、まっすぐに天を見つめる表情は清々しい。
最高に爽やかで切ない読後感… 染みるッッ!!!なんだかちょっと日本昔ばなしを思わせる、懐かしい空気です。
◆銀世界の証明魔法を嫌う少年アルザが主人公の物語。
この世界では、人間は魔導種の力を利用して暮らしていますが、魔導種は力を使い切ると結晶になって消えてしまう。つまり、人間は魔導種の命を使って生きています。
ある日、魔導種の女の子リアがアルザの住むところへ迷い込んできます。
彼女の使う魔法に嫌悪を表すアルザ。
『俺の前で魔法を使うな…っ』
ある魔導種の男性は、アルザを助けて力を使い切り、目の前で結晶になって消えてしまった。以来、どんな魔法も認めず、街から離れた雪深い中に暮らすアルザ。
リアはひとり暮らすアルザを思って、街の光があなたをさびしくしないものに映って欲しいと言います。
アルザは街の光は必要ないと言わんばかりに、リアに月と満天の星空を見せます。

そんな中、魔導種の仲間が迎えに来て、強制的に魔法街に戻されるリア。
街に戻ってからも、アルザが怒っているような気がして魔法を使うことに抵抗を感じ始めた彼女は、再び街を抜け出し、星を頼りにアルザの家を目指します。
戻ってくるかもしれないリアのためにアルザが用意した道しるべは、真っ白な雪を掘って作った、満天の星を映す小川でした。
雪景色と星空の下、再開する二人が幻想的。魔法使いと雪と月星の組み合わせ、ファンタジーの鉄板です!
◆おとぎばなしの筆村に祀られる一本の神木。村人の湧渓とそこに祀られる水の神、烙緋(らくひ)が出会うことから話は始まります。
湧渓はご神木に描かれた、神との契約の陣を毎日書きなぞり、消えないように守るのが役目。ある日、その神木の中に人がいるのを見つけます。
それはなんと水の神。

この神が、雨を降らせこの土地を渇きから護ってくれています。
湧渓はある日、神木の陣の秘密を知ってしまいます。
あの陣は、水の神を木の中に封じ込めるため、300年も前に花吹という若者が描いたものでした。
花吹は水の神と心を通わせ、村を渇きから救った。しかし村人は花吹が死ねば神もいなくなるだろうと恐れ、花吹は神を封じ込める道を選んだ…
湧渓は水の神に、花吹について話を聞きたいと頼みます。
烙緋の口から語られたのは、300年前の花吹との出会いと、彼への淡い恋情でした。
それを聞いた湧渓は、村人の制止を振り切り、陣を消しにかかります。
陣が消え、封印が解かれ、300年振りに触れる外の空気… 烙緋は言います。
『悪くない おまえの声がよく聞こえる』
新たな関係の始まりを思わせる清々しいラスト。なんでしょうねー、この爽やかさと切なさの同居する感じは。
帯に
「こんなに贅沢に収録しちゃうの!?」って書いてあるんですけど、納得のハイクオリティー!誇大コピーではありません。(個人的なオススメは、龍の守唄です。)
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ずっと、ヴァーリアの「花嫁」だと思ってました。